京建具について

京建具とは何か。他と何が違うのか。
正解は分かりませんが、それは建築と一体となって空間に馴染む建具なのではないか、と私は考えております。京建具は京都の歴史と共に育ってきました。京都では度重なる政権交代の中で京都人の「はんなりとした」「主張しない」「曖昧さを残す」気質が形成されてきました。茶道文化も相まって、建具においても、建具の中で「目立たない」「空間に馴染む」ことが好まれてきました。
加えて、京都にはたくさんの芸事のお家元があり、旦那衆がおり、建築の質が非常に高かったと言えます。そのような建築に見合うよう、木材を吟味し、洗練させ、目立たない部分、見えない部分にこそ、技と趣向を凝らしていったのが京建具特徴の一つです。
京都では「技をみせびらかすな、見えないところに技を使え」とよく言ったものです。それが京都の職人のもの造りの原点であり、日本もの造りの原点でもあるのではないか、と私は考えております。

近年、京都では古い町家の改築・改装が盛んに行われ、他府県や海外からわざわざ京都に建物を建てられる方も多くおられます。そういった方々は建築にこだわりがあり、特に「京都らしさ」を好んで来てくれている訳です。ですから、作り手である私たちはこの「京都らしさ」を古い建築や歴史から学ぶことを怠ってはいけないのです。
私は木製建具を通じて、建築が景観として地域に馴染み、よりお客様が建築に愛着を持って使い続けて頂ける、そのようなお手伝いが出来れば、これほど喜ばしいことはないと思っております。

故二代目社長 徳田 敏昭

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